(概要) トップチューニング(Cがプローブ外)の時にLC共振回路の間に挟むことにより、パルスNMR法でのパルス後の電気的リンギングをコントロールできます。 30MHz以下で高Qの場合に効果大です。高耐電圧で低損失にしないといけないので難しいですわ。
Specifications
帯域 0.3-20MHz
耐電圧 1kV以上
耐電流 20A程度(パルス)
挿入損失 0.1dB以下
アイソレーション 10dB以上@10MHz
スイッチ遷移時間 2μs
Qスイッチといって普通思い浮かべるのはレーザーのあれですが、この装置は光共振器ではなくLC共振回路のQ値を制御します。 パルスNMRではQ値が低すぎる と共鳴条件を満たしにくく、信号強度も下がってしまいます。かといってQ値が高いとパルス後に電気的リンギングを起こします。 この装置があると、パルス直後だけQ値を低くするといったことが可能になる訳です。
この回路には4つの動作パターンがあります。
- スイッチONかつ、大電力RF入力時。RFの電流は、FET、ショットキバリアダイオード、ダイオードアレイを通ります。QはほぼLC共振器 本来の高い値になります。
- スイッチOFFかつ、大電力RF入力時。残念ながら完全にOFFにすることはできません。ショットキバリアダイオード、ダイオードアレイが ONになってしまいます。FETへの過大入力電圧はツェナダイオードで抑えます。この状態でもQは低下します。
- スイッチOFFかつ、RF入力が小さい場合。ダイオードアレイがOFFになります。理想的にはQが0になります。
- スイッチONかつ、RF入力が小さい場合。ダイオードアレイにDC電流を流し、ONにします。QはほぼLC共振器本来の高い値になります。
割とシンプルな回路ですけど、結構奥が深いんですよ。数100Wを数μsでコントロールするのも、挿入損失を0.1dB以下にするのも、スイッチ時に不要 なシグナルを出さないようにするのも非常に難しいのです。RF抵抗で有利なPINダイオードでなく、普通のスイッチングダイオードを使っていますが、 PINだと逆回復時間が長過ぎる為に使えないからです。